法人化のタイミング、どう決める？

― 大田区の女性起業家・家族経営の方へ寄り添う行政書士からのアドバイス ―

「そろそろ法人にした方がいいのかな？」
個人事業として順調にお仕事を続けていると、こんなご相談をいただくことが増えてきます。特に大田区では、ご家族で経営をされていたり、ご自宅の一室から始めた女性起業家の方が多く、法人化のタイミングに迷われるケースがとても多い印象です。

■ 法人化を考えるきっかけは人それぞれ

「売上が上がってきた」「取引先から法人であることを求められた」「家族を正式に給与支払いの対象にしたい」――法人化を検討する理由はさまざまです。
特に女性の方やご夫婦での事業の場合、「お子さんの成長に合わせて事業を本格化したい」「家族の名前を会社に残したい」といった温かい動機も多く見られます。

行政書士として感じるのは、「法人化＝税金対策」だけではなく、“これから事業をどう育てたいか”という気持ちの整理が大切だということです。単に手続きをするだけでなく、今後の方向性を一緒に言語化していくことで、会社の形が自然と見えてくることがあります。

■ 青色申告からの切り替えタイミングとは？

一般的に、青色申告で一定の利益が出ている方は、法人化によって節税効果が見込めることがあります。
しかし、タイミングを誤ると、設立費用や社会保険料負担がかえって重くなることも。
たとえば、

年間利益が500万円を超える頃
取引先が増え、信用力が必要になった頃
家族を給与で雇用したいとき
などが、法人化を検討する目安になるといわれています。

実際には税理士さんとのシミュレーションが欠かせません。私は日ごろから信頼できる税理士の先生と連携しており、「数字」「人」「想い」の三方向から最適なタイミングを一緒に検討しています。

■ 登記や手続きの流れも「伴走」でサポート

法人化は、「定款を作って登記して終わり」ではありません。
税務署や都税事務所、年金事務所、労働基準監督署など、設立後に提出すべき書類も数多くあります。特に初めての起業では、「どこに、いつ、何を出せばいいの？」と不安になるもの。

私の事務所では、行政書士として登記前後の全体像を整理し、必要に応じて専門家をご紹介しながら、最初の一歩から伴走しています。
「初めての法人設立を、安心して進められた」と言っていただける瞬間が、何より嬉しいものです。

■ 家族経営の強みを生かすために

大田区では、町工場・建設業・不動産業・福祉事業など、ご家族で営まれている事業者さんがとても多いです。
私自身も、家族で不動産会社を経営している立場から、「家族だからこその課題」もよくわかります。
たとえば、

名義の分け方
役員や従業員としての位置づけ
家族間の役割分担と報酬設計
といった点は、事業を長く続けるうえで大切なテーマです。

だからこそ、単に「書類を作る」だけでなく、「家族が気持ちよく一緒に働ける会社づくり」を目指すお手伝いをしています。

■ “法人化＝スタートライン”という気持ちで

法人化は「ゴール」ではなく、「次のステージへのスタートライン」です。
設立してからが本番――だからこそ、私はお客様と一緒に事業計画書を作成する“伴走支援”を大切にしています。
数字だけでなく、「どんなお客様に喜んでもらいたいのか」「どんな働き方をしたいのか」を整理することで、法人としての方向性が定まり、補助金申請などにも活かせます。