会社設立をしようと考えたとき、最初に立ちはだかるのが「定款の作成」です。
なかでも意外と見落とされがちなのが事業目的(定款の目的)をどう書くかという点。ここが曖昧だったり抜けがあったりすると、後々の事業展開に支障が出てしまうことがあります。
この記事では、実務の現場から見えてきたよくある失敗ポイント3つを分かりやすく解説しながら、失敗しないための対策をお伝えします。
1、今の事業内容しか書かず、将来の可能性を狭めてしまう
定款の目的は「現時点で行う事業」だけを書けばいい、と考えがちです。しかし実は、“将来やりたい事業”もできる限り入れておくことが重要です。なぜなら、後から目的を追加するためには 株主総会での特別決議・法務局への変更登記(登録免許税3万円)と手間と費用がかかるからです。
▶ よくある後悔例
- ネット販売を始めたいのに「通信販売業」を目的に入れていなかった
- コンサルティングを始めたくても「経営コンサルティング業」を入れていなかった
- 将来イベント開催をする予定だったのに「イベント企画・運営業務」が入っていない
定款は会社の将来を“縛る”ことにも“広げる”ことにもつながる非常に重要な部分です。迷う場合は、「現時点で可能性のあるものは入れておく」ことがおすすめです。
2,許認可が必要な事業なのに、定款が原因で申請できないケース
建設業・介護事業・飲食業・古物商・旅行業など、許認可が必要な業種では、行政の審査で「定款の目的に該当する文言が入っているか」が必ず確認されます。
ここが抜けていると、書類が揃っていても許可が下りません。
▶ 実際にあった例
| 申請したい内容 | 定款に必要な目的の記載例 | 定款に抜けていた例 |
|---|---|---|
| 障がい福祉サービス事業 | 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律にもとづく障害福祉サービス事業 | 「福祉サービス」だけ書いてあった |
| 福祉・介護タクシー | 一般乗用旅客自動車運送事業 | 「介護タクシー」だけ書いてあった |
| 宅建業 | 宅地建物取引業、宅地または建物の売買、交換、または貸借の代理、媒介」等の記載 | 「不動産事業」のみ |
行政書士の実務判断が必要になる場面でもあります。将来、許認可取得の可能性がある方は、事業目的の記載に十分注意してください。許認可が必要な事業を始めたい場合は、行政書士にご相談のうえ事業目的の文言を検討すると良いでしょう。
3、定款の目的文が抽象的すぎて銀行口座の開設を断られる
最近増えているトラブルが、「銀行口座が作れない」というご相談です。法人名義の口座を開設する際、銀行は事業内容の確認を行います。その際に、曖昧な定款目的しか書かれていないと“実態のない会社”と判断されることがあります。
▶ 銀行からよく指摘されるNG文例
- 「各種サービス業」
- 「あらゆる事業」
- 「その他前各号に付帯関連する一切の業務」だけしか書かれていない
「販売業」「コンサルティング業」など、内容が不明確な名称銀行は「この会社は何をやる会社なのか」を明確に判断したいと考えています。抽象的すぎず・具体的すぎず、誰が読んでもイメージできる目的が望ましいといえます。逆に、注意していただきたいのは、なんでもかんでも書いておけば良い訳でもありません。特にスタートアップで銀行の口座を作る場合、事業目的が20も30もあったら「で、なにをしたいんですか?」と言われかねません。創業期は、10以内ぐらいを目安に事業目的を検討してみて下さい。
✔ 安心して設立するための《目的作成チェックリスト》
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 今すぐやる事業は明確か? | 実態に即した表現になっているか |
| 将来やる可能性のある事業は? | 制限されていないか/広げておく余地はあるか |
| 許認可が必要な業種ではないか? | 行政庁が求める文言が入っているか |
| 抽象的すぎないか? | 銀行・取引先・自治体の審査に耐えられるか |
| 他社の目的を参考にしたか? | 同業他社の定款を見るのも有効 |
行政書士に依頼するメリット
定款の目的は、事業計画・許認可・融資・税務・採用など様々な場面に影響します。単に「ひとまず設立するための書類」というものではありません。行政書士に依頼することで、
✔ 将来の展開や補助金申請も見据えて目的を整理
✔ 許認可の要否を確認
✔ 入れ忘れのないチェック
など、今後の事業戦略を含めた定款づくりが可能になります。
まとめ
定款の目的は、会社の“未来の可能性”そのものです。設立の段階でしっかり検討しておくと、後々の手続き・申請・許認可で迷わず進むことができます。
将来どんな形で事業が広がっていくか──その“余地”を残せる定款づくりが安心につながります。
サージ行政書士事務所では、「目的の文案を一緒に考えてほしい」「自分の事業に合う書き方が知りたい」という方は、ヒアリングシートを使って丁寧にサポートできますので、大田区を始め城南エリアで事業を始めたい方、そうでない方もどうぞお気軽にご相談ください。


